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“複業する”パラレルワーカーに求められるスキルとは

2020/03/16

 

“複業する”パラレルワーカーに求められるスキルとは

これまでは、1つの仕事、いわゆる「本業」を軸に働くことが常識だったので、複数の仕事を持っている人でも、優先順位をつけ仕事をするのが主流でした。しかし、これからはさまざまな企業と関わり、複数の仕事を本業として優劣をつけない「複業」という働き方が増加すると予想されます。そうした働き方をする人を「パラレルワーカー」と呼びますが、複業の道を選ぶことは労働者にとってもメリットがあることなのでしょうか。

終身雇用の崩壊が危惧される中で高まる“複業熱”

高度経済成長期にあった昭和の日本は、大手企業に就職して出世コースを歩むことがステータスとなっていました。時代は平成から令和になり、バブル崩壊後長い不況の時代に突入すると、1つの会社で定年まで働き続ける終身雇用の概念は消えつつあります。そして、平成の後半から令和の時代においては、働き方の多様性が以前よりも強く求められています。そうした時代背景もあり、1つの企業にずっと身を置く働き方は、決してスタンダードとは言えない状況にあります。

転職や副業といった選択をすることで、複数の企業の仕事を経験したことのある人の割合は年々増加傾向にあります。内閣府が平成30年6月に発表した「人づくり革命 基本構想」では、正規雇用で新卒採用をされた人が、一度も退職することなく一社で働き続けている割合は、30代後半で42%、40代で38%、50代前半では36%という数値でした。女性に関しては30代後半が17%、40代が13%、50代前半が7%という結果が出ています。

データからわかるように、終身雇用を全うする割合の方が少なくっているのが現状です。そして、近年ではさらに働き方が多様化しており、本業とする仕事を1つに絞らないスタイルが人気を高めています。それが複数の企業と提携して仕事をする「パラレルワーカー」という働き方です。パラレルとは「平行、並列」という意味であり、仕事に対して順位づけをしないという意味になります。自分の能力を評価してくれる複数の企業と契約し、それぞれ本業として捉えている点が特徴です。

パラレルワーカーが今後の主流になる可能性

パラレルワーカーという働き方は、仕事への考え方が多様化している現代であれば、珍しい発想ではありません。そうした働き方が増加傾向にある理由の1つとしては、専業正社員であることに窮屈さを感じている人が多いことが挙げられるでしょう。たとえば、メーカーに勤めている社員であれば、自社より他社の方が優れている製品だとしても、自社製品を推さないわけにはいきません。1社の専任になることで、その会社の利益を作るために動く必要が常にあるのです。

もちろん、会社のために身を粉にして働くことは、何ら悪いことではありません。しかし、特に有能でさまざまなフィールドで活躍できる力があるケースは、自社よりも他社が優れた製品を作っている場合、「他社の製品作りに参画してみたい」と思ったとしてもごく自然なことです。つまり、1つの会社に留まり続けることによって、その人が持つ才能を最大限に発揮できない面があるからです。

一方、パラレルワーカーであれば、製品を作っている同業他社の仕事を同時に受けることも可能になります。もちろん、それぞれの会社との間の守秘義務をきちんと守る必要はありますが、自身の能力を遺憾なく発揮してその業界のさまざまな企業の役に立つことができます。企業の枠にとらわれずに社会貢献できる実力のある人であれば、パラレルワーカーとして各所の期待に応える働き方のほうが、1社に留まるよりも意義深いと言えるかもしれません。

複業できるか否かはワーカーのスキル次第

多くの企業から頼りにされ、本業にとらわれない働き方であるパラレルワーカーに憧れる人も多いでしょう。しかし、自分が望むからと言って、すぐにパラレルワーカーとして活躍できるかと言えば、そうではありません。たとえば、1つの企業に就職することなく、フリーランスとして各企業から仕事を請け負う働き方も可能ですが、多くの仕事をもらえるかどうかは、労働者のスキル・能力次第になります。つまり、1つの企業に依存しないで生計を立てるには、かなりの実力が求められます。

特に自分の仕事を進行管理してくれる上司もいない状況なので、他の会社の業務との兼ね合いを把握できるのも自分だけです。そんな状況で成果を出すには、能力はもちろんのことタスクの管理能力も大きく問われます。つまり、パラレルワーカーは、自由に複数の企業から仕事を受けられる反面、すべての仕事に対して自身で責任を負うことになります。一社専任で働く正社員であれば、何か問題があった際に会社にカバーしてもらうこともあるかと思いますが、パラレルワーカーの場合はそうしたフォローがあるとは限りません。

自分の望む仕事を複業して、能動的に働くパラレルワーカーは確かに魅力的な働き方ですが、周囲から認められなければ思うように仕事を受けられないでしょう。そのため、正社員として企業で勤める以上に労働者のスキルや能力が問われる働き方であることを認識しておきましょう。いわば、複業できるか否かはワーカーのスキル次第と言っても過言ではありません。

 

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2020/03/16 更新

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