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シルバー産業へのアプローチ「エイジングテック」とは

2020/03/30
シルバー産業へのアプローチ「エイジングテック」とは

 

シルバー産業へのアプローチ「エイジングテック」とは

少子高齢化によって、人口における高齢者の割合が高まってきている日本。それゆえに、以前にも増して介護や福祉などのシルバー産業の発展が見込まれています。しかし、現状でも人手不足と言われる業界なだけに、需要が加速度的に増えることに対し危機感を覚えている方も多いでしょう。そんなシルバー産業において課題を解決すると言われているのが「エイジングテック」です。シルバー産業向けのテクノロジーの発展は、これからの日本の成長において不可欠な要素だと言えるでしょう。

高齢者人口の増加で需要が増えるシルバー産業

2020年東京五輪、2025年大阪万博と国際的なイベントが続く日本ですが、明るい面ばかりに目を向けていられない側面もあります。実は万博が大阪に帰ってくる2025年に日本が国として大きなターニングポイントを迎えると言われています。それが「2025年問題」です。戦後のベビーブームから長年にわたり日本を支えてきた団塊の世代が75歳以上になる、つまりは「後期高齢者」となるタイミングが2025年に訪れるのです。

高齢化についてはこれまでも警鐘が鳴らされてきましたが、予想される変化の度合いは予測数値を見れば一目瞭然です。実に国民の3人に1人が65歳以上で、5人に1人が75歳以上という「超・高齢化社会」に突入することが見込まれています。高齢者人口が増加傾向にあるというよりも、むしろ高齢者の割合が大半を占める時代が近づいているだけに、介護や福祉などのシルバー産業がより重要視されることは必然だと言えるでしょう。

みずほコーポレート銀行が発表した「高齢者市場への取組みの“進化”に関する考察」によると、2007年時点で62.9兆円だったシルバー産業の市場規模が2025年には101.3兆円にまで増えることが見込まれています。介護産業だけでも15.2兆円に及ぶことが予想されていることもあり、シルバー産業はもはや100兆円をも優に超える巨大産業となることは時間の問題だと言えるでしょう。

シルバー産業の課題解決のカギとなるエイジングテック

シルバー産業が巨大化することに対して悲観する声は少なくないですが、若者が少なく労働者が不足している現状を打破するための策としては、他の業種と同様にテクノロジー領域に力を入れることが先決です。実はすでにシルバー産業にも新たなテクノロジーが導入され始めており、「エイジングテック」に対する注目度が、近年高まっています。

超高齢者社会における医療や福祉、介護というシルバー産業の領域は、担い手が不足することで社会の破綻を招く危険性があります。そうした社会課題に直結した分野であるだけに、エイジングテックの発展が日本の未来に関わると言っても過言ではないのです。医療従事者や介護者の負担を減らし、少ない人手で多くの高齢者や要介護者の暮らしをサポートすることができれば、超高齢者社会という未体験の世の中になっても人々が安心して暮らせる可能性が高まることでしょう。

では、エイジングテックの発展によって、具体的にどんなサービスが充実するのでしょうか。もっとも影響がありそうなのが遠隔医療を中心としたデジタルツールの発展です。近年、高齢者の孤独死が問題化している要因としては、独り身の方の割合が増えている点が挙げられます。通院は難しくとも、遠隔での診療などデジタルツールを活用することだけでも、定期的な接点を持つことも可能です。その他にも介護ロボットの導入など、医療や福祉、介護でも人手が足りない現状にこそテクノロジーでの補完が急務となるでしょう。

テクノロジーにプラスして労働者の意識改革が重要

エイジングテックの導入で、高齢化問題の課題解決に一歩近づくという期待感はありますが、テクノロジーが進歩するだけで明るい未来が待っているわけではありません。もっとも重要なことは、便利で労働者のサポートができるテクノロジーが開発・導入され、それに付随してテクノロジーを労働者が活用できる環境が整うことです。

つまり、高度なエイジングテックがあっても、シルバー産業で働くワーカーが、そうしたテクノロジーの時代の波に乗り、最新技術をきちんと使いこなせなければ意味がありません。最新のテクノロジーが導入されることにあぐらをかくのではなく、そうした技術をいち早く使いこなすために労働者自身が学び、研鑽を積むことがこれからの超高齢社会には求められてくるでしょう。

テクノロジーが社会において採用されている中で、介護や福祉に目を向けたエイジングテックは、少子高齢化が問題の日本において重要な分野です。ただし、労働者自身がテクノロジーの導入に本気で向き合い、進んで取り組まなければ、社会全体に変革が起きるまでに必要以上の時間を要してしまうことになるでしょう。

 

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2020/03/30 更新

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