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2つの疑う力「doubt&suspect」の活用法

2つの疑う力「doubt&suspect」の活用法

“否定的な意味合いが強い疑いである「doubt」は既成概念の打破に、肯定的な意味合いが強い疑いである「suspect」は物事の仮説立てに使用されます。疑う力を伸ばし、仕事における考察力を高めましょう。

一歩引いた目線で実践したい「doubt&suspect」

2つの疑う力「doubt&suspect」のコラムでは、物事を信じるためには、無関心から少しでも興味を持ち、疑問や疑念を1つずつ解消していくことが大切であると説明しました。今回のコラムでは応用編として「doubt&suspect」の2つの疑う力の活用方法まで掘り下げます。

「doubt&suspect」の能力が身につけば、現状分析と未来創造の両立を実現することも夢ではありません。物事に対して常に疑問を持ち、一歩引いた目線で自身の業務を客観視できれば、おのずとより高いレベルで業務をこなすことができます。

より深い思考力を身につけるためにまず現状を疑うこと、つまり「doubt」を実践してみましょう。そして、現状においての課題点や改善点がはっきりしたところで、これからの行動について仮説立てを行います。それが「suspect」です。

ではこの2つの概念を「地動説」を例に活用法について検証していきましょう。

常識や慣例を一度は疑おう~doubtの活用~

17世紀にガリレオ・ガリレイが地動説を裏付けるまでは、宇宙の中心は地球であり、太陽を含めたすべての天体が地球の周りを公転しているという「天動説」が信じられていました。地球を中心に考えれば、他の天体が周りを回っていると思うのは普通であり、天文学がまだ発展していない時代ではその常識を鵜呑みにしても無理はなかったといえます。

ただ、天動説のように以前から存在する事象をそのまま信じることで、真実が見えなくなることがビジネスシーンでも存在します。会社の風習や伝統こそが最適だと思い込み、やり方を変えずに愚直に作業をこなすだけでは、技術革新が目覚ましい現代ではあっという間に時代遅れになってしまうこともあります。

ちょっと仕事がうまくいかないと行き詰まったときは、今行っている仕事について考察し、別のいい方法がないかとこれまでのやり方を疑って(否定して)みましょう。

つまりそれこそがdoubt(don’t think)の活用です。「天動説」を疑い、さまざまな検証を行った数百年前の科学者たちのdoubtにより、現在の常識が構築されてきたのです。常識や慣例を疑うことで、新たな発見が得られます。

仕事においても「本当にそのやり方が正しいの?」と疑ってみることが非常に重要です。

可能性や見込みを常に模索しよう~suspectの活用~

天動説に対して最初にdoubtを突きつけ、新たな可能性である「地動説」を提唱し始めたのが、ニコラウス・コペルニクスです。16世紀に彼が唱えた地動説は、天動説を疑いに疑い抜いた結果、どうしても説明できない新たな可能性を見出したことに対する結果でした。最終的にコペルニクスは生涯にわたり地動説を立証することはできませんでしたが、彼が考えた仮説であるsuspect(think)が後々の真実に近づいたことは紛れもない事実です。

このコペルニクスの考えはビジネスでも応用できます。doubtにより常識が確かなものでなくなったのなら、新たな仮説を立ててみましょう。従来の風習や伝統がうまくいかないのなら、トレンドをじっくりと検証し、「この方法ならうまくいくかもしれない」という新たな仮説を立てるようにしましょう。

それが可能性や見込みに対して疑いの目を向けるsuspectの手法です。suspectの考え方を試行錯誤し、繰り返し行うことで新たな常識や慣習がつくられます。

当コラムでは疑いの方法について、「地動説」という壮大な概念を例に挙げましたが、普段の何気ない業務においてdoubt→suspectの考え方を反復して行うことが重要です。

無心で仕事に集中することも時には大切ですが、何も考えずに単に“作業するだけ”に終始してしまうことは、質の高い仕事とはいえません。常に今ある常識を疑い、新たな手法についての仮説を立てる。ビジネスの成功はそうした思考の繰り返しによりもたらされるものです。

2020/08/21 更新

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