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個人情報などの漏えいを防ぐための情報管理

ビジネスシーンにおいて信頼関係の構築は大切な要素です。なかでも個人情報や機密情報を厳守できるかどうかは、信頼できるパートナーを見極める際の重要な判断材料になり得ます。どんなに優秀な能力があっても、秘密をすぐにばらしたり、情報管理ができなかったりする人材は“真の信頼”を勝ち得ることはできません。現代社会はインターネットの爆発的な普及もあり情報化が進んでいるだけに、情報管理を徹底できるか否かでビジネスの成否も変わってくるのです。

情報管理の徹底は社会人としての基本

近年、個人情報流出や企業の機密情報漏えいに関するニュースを頻繁に見聞きします。しかし、テレビや新聞、インターネットでの報道を通じてだけではあまり実感を持てず、自分事として捉えられない方も多いかもしれません。「明日は我が身」と考えてきちんと対策を行っている人は少数派であり、多くの方は情報管理のトラブルに関して無関心になっているようです。

しかし、インターネットが当たり前となった現代では、以前に比べて情報量も伝達手段も格段に増えています。そのため、企業がトラブルや不祥事などを起こすと瞬く間に情報が拡散してしまいます。昨日まで穏便に過ごしていたとしても、明日には情報漏えいの当事者になってしまう可能性も決してゼロではありません。社会で働くすべての人がトラブルに巻き込まれる可能性があることを肝に銘じる必要があります。

たとえば、スマートフォンが1つあれば、会話を録音し、データにして拡散することも簡単に行えます。また、会社のPCを社外で使用していて万が一置き忘れをした場合、会社のネットワークに侵入される危険性を秘めているのです。このようにテクノロジーの進歩によって、それと比例し情報漏えいのリスクは高まっています。そのため、情報管理に対する知識も以前と同様では対応できません。技術革新に合わせて危機意識も向上させる必要があるのです。

情報漏えいが起きてしまう理由とは

一人ひとりが情報漏えいに危機感を持ち、徹底管理を意識すべきですが、具体的にはどのようなこと気をつければいいのでしょうか。日本ネットワークセキュリティ協会が2016年6月に発表した「2015年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告書(速報版)」によると、情報が漏えいする原因の1位は「紛失・置き忘れ」で30.4%。2位は「誤操作」で25.8%、そして3位が「管理ミス」18.0%という結果が出ています。

インターネットからの情報漏えいが増加しているという報道を見ると、ワームやトロイの木馬などのウイルスに会社のPCが感染することをイメージするかもしれません。しかし、この調査によればウイルスによる情報漏えいは全体の1.3%でしかないのです。もちろん、ウイルスに感染すると多大な損害が出る可能性が高く、対策を講じるべきではありますが、情報漏えいにおいては自己管理の徹底が先決といえるでしょう。

また、4位以下を見てみても「不正な情報の持ち出し」「内部犯罪・内部不正行為」「設定ミス」などそのほとんどが人的要因によるものが原因です。つまり、情報漏えいの原因の多くは従業員の一人ひとりが情報管理の意識を徹底していれば、トラブルが起きる可能性を最小限に留められるはずです。

情報管理をする上で気をつけておくべきこと

上述の情報漏えいに関する調査結果からも、情報管理を徹底するうえでもっとも気をつけるべき点は、人的なミスをいかに起こさないようにするかということです。そのためには最低でも以下のような3つのルールを、組織内で明文化し運用する必要があるでしょう。

1.重要な書類は持ち出さない

機密書類は絶対に社外に持ち出さない。それに加えて社内においても使用時以外は鍵のかかる場所へ保管し、机の上などに放置しないようにする。

2.業務上知った情報の口外、ネットへの投稿禁止

業務上知った取引先の情報、社内の機密情報などは絶対に社外で口外しない。SNSへの書き込みの禁止も徹底します。

3.メールなどでデータを送信する際は二重確認する

機密情報を間違って取引先や外部に送信することを防ぐため、添付ファイル付きメールを送信する際は、送信先を2回以上確認するようにします。

個人情報や機密情報が漏れてしまった場合、その事実を“なかったこと”にはできません。場合によっては1件の情報漏えいによって会社に数億円の損害をおよぼすこともあります。そうした不測の事態に陥らないためにも、従業員一人ひとりが常に日々の情報管理の徹底を意識することが大切です。一人ひとりが強い危機意識を持つことこそが、地味ながら情報漏えいにおける一番の対策となるでしょう。

2020/11/20 更新

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