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“誰もやらない仕事”を率先して行うことの価値

“誰もやらない仕事”を率先して行うことの価値

業務の中には、誰もがやりたいと思わない“3K(きつい、汚い、危険)”と呼ばれる仕事があります。しかし、3Kな仕事でも誰かが対応しなければ、組織が十分に機能しない事も事実です。誰もが好きな仕事ばかりをやっていては社会はうまく回りません。誰もやらない仕事を率先して行う事は、非常に価値が高いのです。

「合成の誤謬ごびゅう」という言葉を知っていますか?

社会には多くの仕事が存在し、円滑に業務が回るために役割分担が大切です。つまり、みんながやりたがらないような仕事も一定量存在し、それを誰もこなさなかったら社会は成立しなくなります。

経済学の用語で「合成の誤謬(ごびゅう)」という言葉があります。各個人にとっては良い事であっても、全員が真似て同じ事をしてしまうと、悪い結果が生じてしまうという意味です。サッカーを例に考えてみましょう。サッカーは11人でやるスポーツですが、人々の注目を集めるのはゴールを決めたりアシストする選手がほとんどです。そこで「よし、俺も目立ちたい」とキーパーを除く10人が前線に押し上げたら、チームは全く機能しません。

これは仕事でも同じです。各自が役割分担を守ってこそ、会社や組織は機能します。

例えば、あるバンドライブの客席で見えづらいからと一人が席を立ったとします。立った方は演奏の様子が見やすくなるかもしれませんが、その後ろの方は見えづらくなります。そして、後ろの方まで立つと連鎖的に立つ人が多くなり、しまいには全員が立つ事になるでしょう。そうなると誰にとっても“良い状態”ではなくなります。自分の利益だけを優先して動くと「合成の誤謬」のように全体がうまく回らなくなります。

役割分担の狭間に“見えない雑務”あり

多くの会社や組織には、各部署の役割を明記した『職務分掌マニュアル』があります。しかし、どれだけ精緻に役割分担を行っても狭間が生じます。そしてその狭間にはマニュアルに列挙されていない“見えない雑務”がたくさんあります。

“見えない雑務”は多くの場合、人が嫌がる仕事・やりたがらない仕事・注目度の低い仕事です。それをやったところで果たして自分の評価につながるか、迷うところですが「率先してやるべきである」と強くすすめます。

なぜなら、

1.見ていて評価してくれる人がいる(少なくともマイナスには評価されない)

2.小さいながらも組織貢献につながる

3.ビジネスパーソン、組織人として成長することができる

という理由によるからです。特に重要なのは3です。見えない雑務に気づく人は、お客様のニーズや心理にも敏感です。また、競争の激しいビジネスシーンでライバルに一歩、いや半歩でも先んじる前向きさも身につきます。

誰もやりたがらない仕事は、実はローリスク&ミドルリターン

社内や組織で目立つ仕事、評価されやすい仕事というのは、社内外で常に競争にさらされます。当然ながらプレッシャーが大きく、失敗した場合に評価が急落しかねないハイリスクが存在します。

これに対して誰もやりたがらない仕事は、会社や組織の期待値がそれほど高くないためローリスクです。しかし、うまくいった場合、あなたの評価が上がるチャンスでもあります。例えば、クレーム対応を誠実に行った結果、クレームしてきたお客様がロイヤルカスタマーになるような事です。

また、営業部門の課長以上が参加する定例会議で毎回率先して議事録を作成していたら、いつの間にかお客様に対する多様なアプローチ方法が身につき、プレゼン資料を作成する際の文章力も向上したという事もあります。これらは目立ちはしませんが、確実に身のある“ミドルリターン”を呼んでいます。

自分のコアコンピタンスを忘れずメリハリをつけて

“誰もやらない仕事”を率先して行う事は、あなたにも組織にとっても大きな価値があります。ただ、あなたの本来業務、コアコンピタンスを疎かにしてはいけません。

会社や組織があなたを雇用しているのは、あなたの本来業務に期待しているからです。それ以外の仕事を率先して行う場合、本来業務に影響が出ないようメリハリをつける事を心がけてください。

2023/05/26 更新

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