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社会で求められる「コミュニケーション能力」の真意

就職活動中の学生や新社会人の方に多い“勘違い”としてよく挙げられるのが「コミュニケーション能力」に関する認識です。社交性が高く、誰とでも気兼ねなく話せることがコミュニケーション能力に長けている人だと考える風潮がありますが、実はビジネスシーンにおいてはそのような人物が円滑なコミュニケーションが行えるとは限りません。今回は社会で求められる真の意味での「コミュニケーション能力」について考察します。

意外と多いコミュニケーション能力に関する勘違い

「コミュニケーション能力が高い人とは」という問いに対して「人見知りをせずに誰にでも話しかけられる人」「人の話を聞くのが上手い人」「社交性が高い人」などと回答する方が多いでしょう。もちろんこれらのイメージがまったく的外れということではありません。「コミュニケーション」という言葉はさまざまなイメージを内包しているため、広義で考えれば上記のイメージもすべてコミュニケーション能力が高い人であると分類できるでしょう。 しかし、“ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力の高い人”と限定した際に、上記の人たちは必ずしも当てはまりません。なぜなら社会で求められるコミュニケーションとは、他人と仲良く話せることではなく、円滑に相手とやり取りすることによって仕事を成功させることを目的としているからです。そのため、相手の話の意図をしっかりと汲み取ったうえで、それに対して明確な回答ができる人が求められます。 社会人経験がない、もしくは浅い方が陥りやすい誤解はその点に尽きます。そうした勘違いをしているがゆえに、社会で求められている適切なコミュニケーションができず、仕事において失敗が続いたり、取引先から信頼を勝ち得ることができなかったりするのです。

仕事の質に直結する最適なコミュニケーション

たとえば、初めての取引先との商談において、誰とでも気兼ねなく話せる能力が場合によっては“つかみ”として上手く機能することはあります。しかし、それはあくまでも“雑談の範囲のコミュニケーション”であり、仕事の質に直結したコミュニケーションではありません。どんなにその場が和んだとしても、仕事の話になった途端に相手の求めることを理解できず、回答がしどろもどろになってしまっては何の意味もなく、相手に不安を与えるだけです。 学生同士の会話であれば場が和むだけでも問題なかったかもしれませんが、社会人として仕事をするうえでのコミュニケーションは、常に相手が求めることを正確に理解し、最適な回答を用意しなければなりません。そのためには、自身で自社事業や製品・サービスを理解することは大前提であり、顧客のニーズに合わせた商談の引き出しを持ち合わせておく必要があります。 逆説的に考えれば、ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力は、社交性がなく性格が暗くても、成立します。仕事をそつなく遂行できるのであれば、その人のキャラクターはむしろ二の次。楽しい会話がなかったとしても、実のある商談ができれば社会人としては合格と言えるでしょう。

目的や目標を意識した上でのコミュニケーションを

多くの方が考える一般的なコミュニケーション能力と、ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力には違いがありますが、後者において重要なのは自身が介在することによって、業務をより円滑にすることです。当たり障りないコミュニケーションで場を和ませることに注力しても、仕事がうまくいくわけではありません。むしろ相手の本質的な課題を解決できるアイデアやアドバイスを伝えられることが肝となります。 そのため上司や取引先とコミュニケーションを取る際には、そのやりとりによって何を解決するべきか、どういった結論に導くべきかといった目的や目標を持つことが重要です。解決や結論の想定がないままで行うコミュニケーションは、ビジネスにおいては有効な手段ではありません。常に目的や目標を意識し、相手のニーズに対して的確なコミュニケーションを取ることを心掛けましょう。

2021/02/10 更新

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