「ご苦労様です」と「お疲れ様です」の使い分け
社会人になると、感謝やねぎらいの言葉で「ご苦労様です」と「お疲れ様です」をよく使うようになります。この二つの意味の違いを説明できますか。誤って使用すると、相手に不快な思いをさせてしまうため注意が必要です。
目上の人に「ご苦労様です」は失礼にあたる?
ビジネスマナーの本では、「ご苦労様です」は目上の者から目下の者に対して使う言葉、「お疲れ様です」は、同等の関係、場合によっては目上の人に対して使う言葉と記されています。
なぜ、目上の人に「ご苦労様です」と使用するのが失礼になるかは、様々な説があります。
昔、お殿様が家臣に対して「ご苦労であった」と労ったことが由来になり、目上の者から目下の者に対して使う言葉になったという説や、「ご苦労様」というのは他人の苦労を高みから見物しているようで、目上の者に対して使うのは失礼にあたるという説などがあります。
どちらにしろ、「ご苦労様です」というのは目上の人には使用してはいけないと覚えておきましょう。
メールでも「お疲れ様です」を使って大丈夫?
同僚や上司に対してメールで連絡をすることが多くなりましたが、普段上司に対して敬語を使っていても、いざメールになると言葉に迷うことが多いのではないでしょうか。特に一番悩むのは、目上の人へのメールの書き出し部分です。メールの書き出しの「お疲れ様です」は間違いではありません。
しかしながら年配の方は、「お疲れ様です」という言葉を失礼だと考える方もいますので、言葉の印象としてあまり使用しないほうがよいかもしれません。代わりの言葉は「お世話になります」や、相手からメールを貰っていた場合には「メールを拝読いたしました」とするのがよいでしょう。
お客様に対しても「お疲れ様です」を使っても大丈夫?
美容室や洋服の試着をしたときに、店員からお客様に対して「お疲れ様です」を使用していることがあります。この場合のお客様に対して「お疲れ様です」という表現は正しいのでしょうか。
上記でも説明したように「お疲れ様です」とは同等の関係、場合によっては目上の人に対して使うものです。お客様は目上の人として考えられるので、「お疲れ様です」でも間違いではありません。しかし、少し軽い印象があるのは事実です。旅行業界などではお客様に対して、「お疲れ様でございます」という表現をしています。
この「お疲れ様でございます」は、「お疲れ様です」をもっと丁寧に表現した言葉で、二重敬語でもなく正しい日本語です。したがって、お客様に対して使う「お疲れ様です」は「お疲れ様でございます」と表現するのが一番適しているでしょう。