現代の日本は、65歳以上の人口が全人口のおよそ1/5を占める「超高齢社会」。医療の進歩もあり、今後も高齢者の割合が増えていくのは確実視されています。少子化に伴い家族のみで介護を行うのも容易ではないため、介護サービスの需要はますます高まっていくでしょう。こうした時代において注目を集めているのが介護職。利用者の介護プランを作成したり、現場の業務を取り仕切ったりする「ケアマネージャー」もその1つです。今回は介護職でも統括的な働き方をするケアマネージャーについて紹介します。
介護現場を取り仕切る司令塔
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは、介護保険制度に基づき、要介護者の介護プランの作成、介護施設・医療機関との調整、介護保険利用時の申請作業などを行う職種です。介護の必要度や希望する生活スタイル、財政状況など、介護サービス利用者1人ひとりの状況をくわしく把握したうえで、できるだけ本人とその家族の希望に沿えるようなサービスを決定する役割を担います。
ケアマネージャーの業務は多岐にわたり、介護保険の専門知識を身につけるだけでなく、現場のことを広く知る必要があります。もちろん、介護施設と医療機関の連携を円滑にする調整力や、要介護者・家族の希望を聞き出すコミュニケーション能力も必要です。作成するケアプラン次第で要介護者の生活は大きく左右されるので、「介護現場の司令塔」と言っても過言ではないでしょう。
混同されがちな介護福祉士との違いとは
同じ介護職ということで、ケアマネージャーは介護福祉士と混同されることがあります。しかし、介護福祉士は、介護現場で直接要介護者のサポートを行う仕事です。着替えや食事、入浴の補助といった身体介護、食事の準備や部屋の掃除、洗濯、買い物などの生活援助、要介護者の話し相手になったり、レクリエーションを催したりするメンタルケアがメインの業務になります。
一方、ケアマネージャーは前述したように、ケアプランの作成など統括的な役割が主な業務。もちろん、要介護者本人や家族とコミュニケーションをとって状況を聞き取ったり、施設の状況について詳しく把握したり必要があるため、現場と密に関わる仕事ではありますが、基本的には直接介護をする仕事ではないことを覚えておきましょう。なお、給与などの待遇面でも両者には違いがあり、ケアマネージャーの平均給与は介護福祉士よりも約4万円高いというデータもあります。
技能や知識に加えてマネジメント力も求められる総合職
ケアマネージャーには、介護保険制度に則ってケアプランを作成するための専門的な技能・知識が必須です。しかし、それだけではケアマネージャーの仕事は務まりません。要介護者や家族の事情に寄り添いながら現状やニーズを把握するヒアリング力、介護施設や医療機関との連携をスムーズに行う調整力、関係者を集め、要介護者にとって最適なケアプランを遂行するためのマネジメント力、フットワークの軽さなど、多種多様な能力が求められる仕事なのです。
広い視野と多彩な能力が必要なケアマネージャーの仕事は、まさに「介護現場の総合職」。業務が多岐にわたるため大変ではありますが、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。一般にも知られている通り、日本では少子高齢化により、介護人材はまだまだ不足しています。介護職の需要が今後いっそう増加していくことは確実なため、介護業界に関心のある方は、ぜひケアマネージャーという仕事を選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。