ファッションの流通を司る“アパレル生産管理”

ファッションの流通を司る“アパレル生産管理”

新作の洋服を企画したり、流行のコーディネートをメディアで特集したり、実際に店舗で販売したりするなど、洋服の流通はさまざまな人の手によって支えられています。その中でもアパレル生産管理は表立つことは少ない裏方の仕事ですが、洋服販売において店舗や会社が利益をあげるために重要な役割を担うポジションです。アパレル生産管理を目指すのであれば、業務内容から転職のために身につけたいスキルや、キャリアアップのプランを考えてみましょう。

 

あまり知られていないアパレル生産管理の仕事

アパレル生産管理は、商品の発注から納入までのプロセスを管理し、企画した服を完成に導く仕事です。自社工場や提携工場とのコミュニケーションはもちろん、サンプルや出荷する前の製品の確認、消費者からクレームがあった際の改善策の検討、生産上の不具合がある場合の原因解明、商品違いなどのトラブル対応など、その業務内容は多岐にわたります。

生産管理担当者はサンプルや完成品の質を自分の目で見て判断するため、糸や生地、縫製に関する幅広い知見を持ち合わせていなければなりません。また、外注工場の選定は、各工場の技術力や生産能力、工賃などのさまざまな条件を見比べる必要があるので、数字管理の能力も不可欠です。急な増産が必要になれば、その作業をこなす人材を確保するなど機転の利いた対応も求められます。

また、生産管理は商品を予定通りに完成させるだけでなく、商品の生産によって会社の利益を最大限に引き上げる役割も担っています。品質を落とさずに利益を追求するには、納期や品質、原価のバランスが重要です。生産管理の仕事は消費者から直接評価されることはありませんが、生産管理者の腕にブランドイメージや会社の業績がかかっていると言えるでしょう。

洋服の流通を縁の下で支える“司令塔”的な存在

生産管理は、納品スケジュールや品質の管理によって生産工程を仕切る“司令塔”の役割を果たしています。生地やボタンなど、1つのパーツの遅れが全体の納期遅れにつながるため、生産管理担当者は取引先とこまめにコミュニケーションをとり、トラブルを未然に防がなければなりません。何らかのトラブルにより納期通りの生産や発送が難しい場合は、現状と解決策を取引先に説明するなど冷静な対処が必要になります。トラブル対応を乗り切るコミュニケーションスキルも磨かれる職業です。

近年、アパレルやファッションアイテムの生産は裁断、縫製などの各工程で分業化が進み、国内の自社工場に代わって海外の提携工場とやり取りする機会が増えています。スケジュールや品質の管理はより複雑化していますが、業務で経験を積みコミュニケーション能力や語学力を磨けば、業種や職種を問わずグローバルに活躍できる人材として成長できる可能性を秘めています。

アパレル業界ではIT化も進み、製品のオンライン販売が当たり前になっているので、時期を見計らって新作をリリースすれば目標以上の利益をあげることも夢ではありません。しかし、販売数の想定を誤ったり、発売のタイミングが悪かったりすると、多大な在庫を抱えるリスクもあります。自社の業績に貢献するためには、自分の力を最大限に発揮し生産と流通の効率を高めることが大切です。

ファッションに携わりつつ管理能力を養おう

アパレル生産管理の仕事を経験すると、服飾の基礎知識が自然と身につきます。生産管理を軸にスキルアップを考えるなら、繊維製品品質管理士(TES)などの資格の取得を目指しましょう。縫製や生地の特徴に関する知識はアパレル業界の他の職種への転職でも強みになりますし、語学力や顧客折衝力は、業界を問わずどんなキャリアでも活かすことができます。

ファッションに関わる基礎知識や管理能力をはじめ、さまざまな業務に活かせるスキルを身につけることができる生産管理の業務。未経験から生産管理に関わる場合は、まずアシスタントからスタートして、実務経験を積むとキャリアの可能性を広げることができるでしょう。アパレル生産管理は決して華やかなアパレル業界の中で目立つ役割ではありませんが、ファッションに携わりつつ管理能力を養えるやりがいの多い仕事です。

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