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AI全盛の時代が到来しても労働者スキルが不可欠なワケ

2019/08/05

 

AI全盛の時代が到来しても労働者スキルが不可欠なワケ

すでに多くの研究者が、将来的にAIがより労働環境において多くの役割を担うことを予想しています。いずれはビジネスにおいてAI全盛の時代が到来することは確実なため、「人間の存在意義」を不安に思う労働者も少なくないようです。しかし、実際にはAIが人間の代わりになれる領域は限られているため、過度な心配は無用だと言えるでしょう。むしろ、労働者に必要になるのはAIと競うことではなく、AIをビジネスにうまく活用するためのスキルを身につけることなのです。

AIが人間の仕事を奪う「AI脅威論」は正しいのか

近年、技術革新が進むことでいずれはAIによって人間の仕事が奪われる、という「AI脅威論」をよく耳にするようになりました。AIの進歩に漠然とした不安を抱き、労働環境における自分のポジションがAIの台頭によって不要になり、果てはSFの世界のようにAIが人間を支配する「未来」を想像する人が急増しているのです。しかし、実際のところ、「AI脅威論」のほとんどは、現在のAI技術に対する誤解によって生まれています。

確かに複雑な判断を必要としない単純労働的な仕事が、これからますますAIに置き換えられていくのは免れないでしょう。ただ、少なくとも今のAIには、全体を俯瞰し、何が問題でどう改善すべきかを総合的に判断するような能力は備わっていないのが実情です。人間のように複雑・高度な頭脳労働をAIが担う未来は、現時点の技術レベルではまだまだ先の話でしょう。

全幅の信頼を置くことができないAIの限界とは

最新のAIは豊富なデータをもとに有用なパターンを見つけ出し、そこから学習を重ね(機械学習)、自ら進化して未知のパターンを発見する(ディープラーニング)という特徴があります。このような特徴を挙げてみると、つい「AIにできないことなどないのでは」という印象を抱いてしまいがちですが、実際には決してそうとは限りません。

AIはあくまで単機能的なものです。たとえば、AIの活躍が期待されている医療の現場では、AIは膨大な情報を蓄積・分類して構築したデータベースをもとに患者の症状に診断を下し、治療方針を立てることができます。しかし、今現れている症状と体の別の部位との関連性を突き止めるといった複合的な判断はまだ難しく、その実力は人間には遠く及ばないのです。

AIは人間の脳よりもはるかに多くのデータを蓄積することができ、自ら「考える」ことができる程度には優秀です。しかし、人間が行うような複合的・総合的な判断を任せることは難しく、重大なミスを犯す可能性もあります。そのため、AIに仕事が奪われてしまうと心配しすぎる必要はなく、また、AIに過度な期待を寄せるのも危険だと言えるでしょう。

労働においてAIはツールにすぎない

AIは高い将来性を持つテクノロジーですが、現段階ではできることにかなり制限があります。私たちはAIを過信するのではなく、あくまで人間主導でうまく使いこなす努力をしなければなりません。そのためには、まず「何のためにAIを使うのか」という目的をはっきりさせること、そして複合的な判断が苦手という特徴を踏まえて、AIに任せる問題を小さなタスクにまで絞り込むことが大切です。

たとえば、店舗の売上アップのためにAIを導入したいと考えている場合は、まず「売上アップのためには顧客にとっての付加価値を上げるべきである」といった仮説を立てることで、AIを使う目的を「顧客にとっての付加価値を上げること」と定めます。そして、付加価値を上げるためにはどんなデータを収集・分析すべきかを人間が考えます。そのうえで「○○に関するデータを収集・分析する」といった仕事をAIに課せば、初めてAIの能力を最大限活用することができでしょう。あくまで人間主導で、AIの方が得意な領域のみでAIの力を活用するということです。

今後も、AI技術はますます発展していくことが予想されます。しかし、AIはいかに成長を遂げようともあくまで「ツール」の1つであり、人間がコントロールする立場であることには変わりありません。盛んに叫ばれるAI脅威論に惑わされて無駄な心配をしすぎるよりも、AIをうまく活用し、より質の高い仕事を生むことに力を注ぎましょう。

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2019/08/05 更新

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