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住所を持たない労働者が急増?アドレスホッパーの働き方とは

2020/03/02

 

住所を持たない労働者が急増?アドレスホッパーの働き方とは

労働の大きな目的の1つとして「家の購入」を挙げる人も多いのではないでしょうか。「夢のマイホーム」という表現があるように、家は人生における最大級の買い物です。そのため、人間の必要三原則でもある「衣食住」の中でもっとも多くの費用がかかる住の悩みはいつの時代でも尽きません。しかし、そうした常識を覆す生き方をする人々が近年話題になっています。それが「アドレスホッパー」です。定住せずに日々寝床を転々とする暮らし方をする人を指しますが、彼らの登場によって働き方に変化はあるのでしょうか。

定住しない暮らし方「アドレスホッパー」が急増中

リュックを背負って日本各地、または世界中を旅して回る「バックパッカー」は多くの人がご存知ではないでしょうか。1つの場所に留まることなく、放浪をするスタイルを一度はやってみたいと思った方もいるかもしれません。旅好きで同じ場所に留まらないという意味では、近年急増中の「アドレスホッパー」と通じるところがあります。定住する家を持たない「住所(住む場所)をホッピング(渡り歩く)」する彼らは、近年の新しいライフスタイルとして注目を集めています。

特定の部屋を借りたり、買ったりせず、住む場所を転々としながら働くことは、一見すると不可能なように思えます。しかし、メディアで注目されているように、アドレスホッパーは自分たちの新しい生活圏を築き上げています。彼らは毎日、各地のホテルやホステル、漫画喫茶などのスペースを借りるか、家族、友人ら知り合いの家に泊めてもらうなどしてひと晩を過ごします。そして、翌日には軽装で次の目的地や職場に向かいます。まさに「その日暮らし」というフレーズがピッタリの働き方と言えます。

しかも、アドレスホッパーに関して驚くべきなのは、彼らのほとんどがきちんと仕事をし、税金を納めているという事実です。バックパッカーが自分の生き方を見つける旅であることが多いのに対して、アドレスホッパーは働きながら日々旅するという、これまでの常識では考えられないライフスタイルです。また、行政に申請する住所は実家などが大半のようで、名義上、住所は保有しているのも特徴です。自由奔放な暮らしをしているように見えて、ほとんどのアドレスホッパーが労働、納税などの国民の義務を果たしています。

アドレスホッパー向けビジネスも同様に拡大路線に

賃貸にしろ、持ち家にしろ、自宅があることが当たり前だと考えている人々は、アドレスホッパーの人たちは「どうやって生活しているのだろう?」いう疑問を持つことでしょう。もちろん、個々によってことなりますが、実際に不自由なく暮らしている人々がいるということは、現代にはそうしたライフスタイルでも生きていける環境が整っているということの裏付けであると言えます。一方で、アドレスホッパーの増加に伴い、住む場所を持たない彼らをターゲットとしたビジネスも拡大傾向にあるようです。

アドレスホッパー向けビジネスの顕著な例は、ホステルやゲストハウスといった宿泊施設です。いわゆる簡易宿泊施設に分類されるこれらの宿泊施設は、値段が安いのが特徴で、行く先々で支払いが発生するアドレスホッパーからすると強い味方と言えます。そうした彼らをターゲットにしているため、近年ではキレイで共有スペースがあって、Wi-Fiなどの設備も充実しているホステルやゲストハウスを建てるオーナーが増えてきています。

また、住む場所を持たないアドレスホッパーにとって不可欠と言えるのがインターネットによる情報です。彼らの多くは、ホステルやゲストハウスの空き状況を確認できるアプリを使用しています。その日の寝床を探すために、スマホで宿の予約をするのが日課です。そのため、アドレスホッパーがいち早く泊まり先を探せるように、簡易宿泊施設と連動したアプリケーションも近年増加傾向にあります。このようにアドレスホッパーの存在が、新たなビジネスチャンスを生むきっかけにもなっています。

定住しないスタイルが生む新たな働き方の可能性

革新的な存在として注目されるアドレスホッパーは、フリーランスやクリエイティブ系の仕事をしている人が多いようです。日本は家から会社に通うのが当たり前ですが、家でもなく、会社にも行かずに遠隔で仕事する時代がすでに到来しています。今は圧倒的なマイノリティではありますが、アドレスホッパーが大きな可能性を秘めていることは確かです。画一されたワークスタイルを見直す動きが強まっている昨今において、彼らのような存在は改革を進めるきっかけになるかもしれません。

これまでの常識では想像できなかったライフスタイルが新たな事業を生み、そして新たな働き方を提供するという新しい生き方をするアドレスホッパーは、多くの人にとって馴染みが薄いかもしれませんが、日本の働き方の概念を覆すかもしれない彼らの活躍や一挙手一投足に注目してみてはいかがでしょうか。

 

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2020/03/02 更新

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