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心の余裕があるから実現できる質の高い仕事

どんなに冷静で仕事能力が高い人であっても、心に余裕がない状態では質の高い仕事をすることはできません。仕事に弊害をもたらす要因がある場合は、速やかに排除する必要があります。ストレスを多く抱えたまま仕事をすると、効率も下がり望んだ成果が出せなくなります。ストレスフリーで心の余裕を持って仕事をするためには、何を意識すべきでしょうか。

ストレスが多いことで低下する仕事効率

2016年10月、厚生労働省が発表した労働安全衛生調査(実態調査)によると、現在の仕事や職業生活に関して、強いストレスを感じる事があると回答したのは全体の55.7%。2人に1人以上が業務において何らかのストレスを感じているという結果が出ています。つまり、社会人として働くということは、いかにストレスとうまくつき合うことができるかが重要なポイントとなるのです。

仕事をするうえで適度な負荷がある方がほどよい緊張状態を生むため、作業効率は上がるといわれています。ただし、必要以上にストレスがあると脳に悪影響を与えることもあるので注意が必要です。東邦大学の神経科学研究室の発表によると、ストレスを受けると脳の底部が反応し、心拍数の増加、血圧の上昇、食欲の低下などを発症。感情や衝動を抑制している前頭前野の支配力が弱まり、不安を感じたり、普段は抑圧されている衝動が抑えきれなくなったりすることがあるそうです。それらは仕事に支障を来すことも十分に考えられます。

仕事において「小さなミスが増える」「約束を忘れる」「人とのコミュニケーションがうまくいかなくなる」といった症状が現れるようになったら、それは脳がストレスを受けているサインです。脳がストレスによるダメージを負うことで、仕事効率が極端に下がることがあるということをあらかじめ認識しておきましょう。

心に余裕がないと業務も追い込まれる傾向に

大きなストレスを抱えることでミスが増えて業務効率が下がると、そんな自分が許せなくなり、さらにストレスを感じてしまうことも珍しくありません。ストレスが更なるストレスを生む状況下では、業務効率が下がり続けるという悪循環に陥ります。場合によっては心理面だけではなく身体面の健康状態も悪化することが考えられます。

このように心の余裕を失うとすべてが悪い方向に傾きかねないので、一旦、落ち着いて周りの状況を冷静に見渡してみることも大切です。もちろん、職場におけるストレスの要因を排除することは簡単ではないため、まずは仕事以外の日常生活の中でストレス発散の実践をおすすめします。

たとえば、「通勤時にいつもと違う道を歩いてみる」「早起きを心がけ運動をする」などいつもと違った行動をすることで気分転換になると同時に、これまでとは異なる視点で物事を捉えられるケースもあります。そうすることで心に自然と余裕が生まれてきます。また、寝る前に頭を空っぽにし、1日をリセットする時間を作ることもストレス軽減に役立ちます。

心の余裕がもたらす好循環

常に追い込まれながら仕事をしていると心に余裕がない緊張状態が続くため、ストレスを溜め込んでしまいがちです。自分が置かれている状況をもう一度、冷静に見つめてみましょう。視点を変えたり、落ち着いて考えたりすることで、不調を抜け出すヒントが見つかるかもしれません。大切なのはどのように仕事と向き合えば、自身が働きやすくなるかを俯瞰してみることです。

冷静な状態で仕事に取り組めれば、小さなトラブルで焦ったり、ケアレスミスで落ち込んだりすることも少なくなります。心に余裕が生まれると、自然と仕事に取り組む姿勢も前向きにシフトするものです。ストレスが溜まることを環境のせいにするのは簡単ですが、まずはご自身の心構えを意識的に変えてみましょう。たとえば、朝30分早く出社するだけでもその日の仕事内容を整理でき、ゆとりを持って一日の仕事をスタートすることができます。そうした少しの余裕を持つだけでもストレスは軽減できるものです。 また、仕事を始める前の1杯のお茶、1杯のコーヒーなども余裕を与えてくれるものです。

ストレスを抱え込むことは仕事がはかどらないばかりか、心や身体にも悪影響を及ぼします。だからこそ仕事で追い込まれた時は一旦立ち止まる勇気を持ちましょう。そして、まずは冷静さを取り戻し、心の健康を第一に気遣うことを忘れないでください。精神状態を落ち着かせ、心に余裕を作ることこそが質の高い仕事につながるのです。

東邦大学神経科学研究室
http://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html

2023/10/20 更新

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