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上役への気遣いに終始してはならない“社会での忖度”

上役への気遣いに終始してはならない“社会での忖度”

とある国会の答弁から波及し、2017年の新語・流行語大賞にも輝いた言葉があります。すでに多くの方にとってお馴染みとなった「忖度(そんたく)」という言葉です。相手の気持ちを推し量ることを意味する忖度は、ビジネスシーンでも多くの場面で求められる対応ですが、日本人は相手に気遣いすぎるきらいがあるのもまた事実。ビジネスマンとして働くうえで、忖度を適切に活用するためにはどんなことに気を配るべきでしょうか。

2017年の流行語大賞に輝いた「忖度」という言葉

毎年12月1日に発表される、新語・流行語大賞。2016年の待機児童問題に端を発した「保育園落ちた日本死ね」、2015年の同盟国の防衛に加担できる「集団的自衛権」など政治に関する発言は、毎年のように新語・流行語大賞にノミネートされています。今回の「忖度」の年間大賞は、社会現象にもなった「インスタ映え」とのW受賞であり、多くの方にとって納得の結果だったのではないでしょうか。一時は連日のようにテレビ・新聞・インターネットなどのニュースでこの言葉を見聞きされたかと思います。

しかし、この忖度という言葉。今回の一件で取り上げられるまでは、聞いたことも使ったこともなかったという方がほとんどではないでしょうか。かつて2007年には「KY(空気が読めない)」が一世を風靡し、新語・流行語大賞にエントリーされました。その反対で「相手の気持ちを推し量る」ことを意味する忖度が奇しくも10年後に大賞を受賞するとは、時代の移り変わりの速さを感じざるを得ません。

これまでも一般的に「相手の気持ちを察して」「相手の立場を慮って」といった表現が使われており、忖度することに関しては何も珍しいことではありません。それは政治の世界だけではなく、ビジネスの世界においても同様です。言葉は難しいということで一気に注目を集めることにはなりましたが、多くの日本人にとっては、決して珍しくないマインドであることは間違いないでしょう。

忖度を意識しすぎている日本のビジネスマン

では実際に忖度というマインドは、ビジネスシーンではどのように重んじられているのでしょうか。どんなに優秀な人材であっても、会社という集団の中で働いている以上、上司や先輩の気持ちを推し量ることは仕事を円滑に進めるうえで重要なポイントの1つです。自身の考えややり方だけで仕事を進行すると、チームワークが乱れ、社内に不協和音を生むことも考えられます。自身の意見を持つことはもちろん重要ですが、周囲への配慮も同時に持ち合わせる必要があります。

但し、相手を思いやることを美徳とする日本人にとって気をつけなければならないことは、忖度を意識しすぎてしまうことです。忖度とは相手の気持ちを推し量る、察するという意味であり、あくまでも自分の中の推測に過ぎない点を忘れてはいけません。つまり、自分は相手の気持ちを推し量っているつもりが、実は相手はまったく別の考えを持っている、もしくは相手のためになっていないということも往々にしてあります。

相手のことを考えた行動が、反対に相手にとっての不利益を生む――物事に対して意見することを恐れる傾向にある日本のビジネスシーンでは、そんな悲しい結末を迎えることも決して珍しくないでしょう。忖度を意識しすぎることで意思の疎通が図れず、業務がスムーズに進まなくなるばかりか、場合によっては致命的なミスに発展してしまうリスクもあります。相手の気持ちを推し量るだけではなく、時にはきちんと意見を交わすということが真っ当な対応であることを肝に銘じる必要があります。

状況に応じて自身の主張を展開することも大切

忖度は社会人にとって不可欠なマインドではあるものの、上司や先輩ら周囲への気遣いに終始してしまっては、自身の理想とする働き方を実現するのは難しいのではないでしょうか。相手の言うことにただ従うだけの対応では、自分の意思で行動できる社会人に成長するのは難しいかもしれません。

上司や先輩には常に敬意を払いつつも、必要だと思ったときには、しっかりと自らの主張や提案をすることが大切です。理路整然とした考えや意見があるのであれば、きちんとミーティングなどの場を設けて、相手に伝えることが適切な方法だと言えるでしょう。忖度することばかりに捉われるのではなく、時にきちんと意見を述べることこそが業務の効率化を生み、かつ自身の成長にもつながっていくはずです。

2018/02/13 更新

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