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時短マネジメントの導入で目指す“ノー残業”

世界各国から“真面目で勤勉”というイメージを持たれている日本人ですが、そのような印象を与える要因の1つとして「働く姿勢」が挙げられるでしょう。しかし、その姿勢が評価される一方で“働きすぎ”というネガティブなイメージもあることは確かです。最近は日本でも悪しき長時間労働の文化を見直そうと「時短マネジメント」を導入する企業も増えています。今回は時短マネジメントの意義と残業に頼らずに成果を上げる方法について紹介します。

長時間労働が当たり前となっている日本社会

近年でこそ「働き方改革」が注目を浴びるなど、社会全体で体制を変えていこうとする動きはあるものの、依然として遅くまで残業し身を粉にして働くことが美徳であるという考え方は一部企業では根強く残っています。 そうした社会事情は数値にも表れています。2016年3月、独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査」「労働時間や働き方のニーズに関する調査」の結果(※1)によると、過去1年間に【1ヶ月の所定外労働時間】が45時間を越えた正社員が1人でもいた企業割合は76.5%でした。 また、2015年1月に日本労働組合総連合会が発表した「労働時間に関する調査」(※2)においても、一般社員の平均残業時間は20.5時間/月、課長クラス以上で28.4時間/月という結果が出ています。これらの結果を鑑みても、現在の日本社会では長時間労働が常態化していることが数字によってはっきりと示されていることがわかります。 ※1:http://www.jil.go.jp/institute/research/2016/documents/0148.pdf ※2:https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20150116.pdf

注目されている時短マネジメントによる業務効率UP

長時間労働が常態化すると、残業することに対して何の疑問も抱かなくなってしまいがちです。しかし、長時間労働にはデメリットはたくさんあれども、明確なメリットは存在しません。労働時間が長くなることで、社員への負荷が大きくなり、健康障害のリスクが高まることはもちろん、集中力低下による生産性の悪化や離職率の増加を招きます。結果として新たな人材採用も困難になり、経営は悪化するという悪循環に陥ることは至極当然の流れでしょう。 そうした残業主体の日本の悪しき伝統を是正する概念として、近年注目を浴びているのが「時短マネジメント」による業務効率の向上です。時短マネジメントがノー残業デーや残業許可制などの仕組みと大きく異なる点は、企業全体のプロジェクトとして成果目標を数字として明確にし、長期的な視野を持って取り組む点です。 具体的には残業が発生する原因を明確にしたうえでプロジェクトチームが分析を行い、やるべきこととやらなくてもいいことに分類。さらにやるべきことをどうすれば無駄なく迅速に行えるかを検討して実行します。そして、成果が出ればそれを全社で共有し、さらにブラッシュアップをします。もちろん個々人が業務効率アップに努めることは大切ですが、組織全体で残業時間を少なくする意識を持つことが何よりも大切です。

残業しなくても同等の成果をあげるために

これまでの業務を改めて見直していくと、やらなくてもいいことに時間を割いていたり、1人でできることを2~3人でやっていたりと多くの無駄が見えてくるでしょう。最たる例は議題のない定例ミーティングです。メンバーが顔を合わせることが目的となっており、協議の必要がないミーティングはすぐに止めることをおすすめします。そうした無駄を1つひとつ洗い出し、改善すべく対策を考えることが時短マネジメントの重要なポイントです。 残業をしなくとも同等の成果を上げ、業務効率を大幅にアップさせることは不可能ではありません。「時間がない」というのは、社会人として真っ当な言い分とは言えないでしょう。できないとあきらめるのではなく、できる方法を考えるのが時短マネジメントの最初の一歩です。 日本でも長時間労働是正の取り組みが真剣に始められています。“長時間働くのが美徳”という日本の企業にありがちな風潮も徐々に変わりつつあるだけに、時短マネジメントを個人においても組織においても取り入れることでいち早くスマートな働き方を実践しましょう。そうすることで仕事もプライベートもより充実した時間が過ごせるはずです。

2021/04/05 更新

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