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成果を発揮する人の行動特性「コンピテンシー」

成果を発揮する人の行動特性「コンピテンシー」

近年、大きな成果をあげるための概念として「コンピテンシー」という言葉がトレンドとなりつつあります。しかし、コンピテンシーという言葉だけが独り歩きし、本来の意味合いとは異なる認識をされていることが問題視される一面もあります。たとえば、日本企業ではハイパフォーマーの行動モデルをコンピテンシーと理解しているケースが多く、それを体系化してノウハウとしようとする誤った認識も広まっているようです。では多くの人が真の意味を理解しきれずにいるコンピテンシーとはいかなるものなのでしょうか。

ハイパフォーマーに共通する行動特性は体系化できるものではない

仕事において高い業績を上げる人の行動特性を指す言葉として、近年ではコンピテンシーがキーワードになりつつあります。由来はハーバード大学のマクレランド博士を中心として外交官の業績格差についておこなった調査・研究ですが、現在では企業の人事システム構築の1つの考え方として発展を遂げてきました。その後、1990年後半に日本でも従来の職能資格制度だけに頼らない新たな評価制度として、認知、普及が進んでいます。 職能資格制度では、それが実際に業務において発揮されているいないにかかわらず、ある一定のスコアを記録すれば評価の対象となります。たとえばTOEICで800点以上を取っていれば、業務に関係なく高い評価が得られる企業もあります。一方のコンピテンシーは、高い業績を上げている社員の行動特性を分析、モデル化して実際に行動で示される能力が評価対象となります。そのため、職能資格があろうがなかろうが、実際に成果を上げている社員の評価が高まるといったメリットがあります。 ただし、ここで勘違いしがちなのが、コンピテンシーは職種、状況に応じて大きく変わるという点です。その点を明確に理解せずに、単純にハイパフォーマーの行動特性を定義、体系化してしまうという考え方は本質とは少しズレています。それぞれ業務環境は異なるものなので、定義、体系化したものがそれぞれの個人にマッチするとは限りません。そのため、コンピテンシーはフォーマット化できると考えているとしたら、それは大きな間違いだと言えます。

ハイパフォーマーが結果を出しているワケとは

ハイパフォーマーの行動特性を定義、体系化することで同じような結果を出そうとすることは、正確にはコンピテンシーではありませんが、そう断言できるのはどうしてなのでしょうか。それはハイパフォーマーが常に同じ行動を取っているとは限らないからです。 そもそもハイパフォーマーと呼ばれる人は、その時々の状況に応じて最適な行動を取るからこそ、成果を出すことができています。常に同じ行動を取っていたり、マニュアル的な動きしかできていなかったりしたら、不測の事態に対応することができないでしょう。その時々に応じて最適解を見出すことができるからこそ、高い問題解決能力を有していると周囲から認められる存在になれるのです。 つまり、コンピテンシーにおいては行動の柔軟性があるからこそ、高い業績を上げられるのであり、それを1つの形に押し込めて定義・体系化することで同じように高い業績を上げることは難しいと言えるでしょう。特に日本人は生真面目な性格からかマニュアルを遵守する傾向にありますが、仕事は常に臨機応変な対応が求められるものです。高い業績を上げるためのモデルとしてコンピテンシーを取り入れる際には、この点に十分注意しなくてはなりません。

状況に応じた的確な対応こそがコンピテンシー

「コンピテンシー=ハイパフォーマーの行動特性」という短絡的な考えに終始してしまうと、実際に成果を出しているハイパフォーマーと同様の、それに近づく結果を残すことは不可能でしょう。なぜならコンピテンシーは定義したり、体系化したりできるものではなく、状況に応じた的確な対応ができる、“臨機応変に成果を出せる力”だからです。 コンピテンシーを活用するためには、ハイパフォーマーの具体的な行動特性をなぞるのではなく、その裏に隠された意識のあり方を理解することが重要になります。そのためには行動パターンは抽象的でもかまわないのでそれ以前のどういった意図や意識、目的を持って仕事に臨むのかといったレベルでコンピテンシーをしっかりと構築したうえで定期的に内容を常に更新することが大切です。 世の中には、絶対に成功する行動パターンというのは存在しません。そして、たとえそれがハイパフォーマーとは言えども、ただ模倣するだけでは同じような成果は得られないでしょう。だからこそ、日々、結果を残している人の行動様式を研究し、それを自分にカスタマイズして落とし込むことが大切です。そうした鍛錬によってのみ成功は築かれていくものだと言えるでしょう。

2017/12/05 更新

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