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積極的なリカレント教育で“生涯学習”の実践を

日本において教育とは学生が受けるものであり、就労しているビジネスマンは座学よりも実践で使えるスキルを身につけることが求められます。しかし、高度に情報化した現代では、知識面においても常に新しい情報をアップデートしなければ時代に置いていかれてしまうことも事実。そのため、近年では生涯学習を実践するために「リカレント教育」に注目が集まっています。社会に出ても積極的に学ぶ姿勢を保ち、先進的な知識を得るためにはどのようなことを意識すべきでしょうか。

働き方の多様化に伴い重要度を増した生涯学習

終身雇用制度の崩壊が叫ばれて久しい現在ですが、就職から定年まで1つの会社に勤め続けることは、もはや当たり前ではなくなりつつあります。日本においてもキャリアアップや自身のやりがいを求めて複数の会社を転々とする働き方も徐々に浸透し、働き方の多様化が進んでいます。 そうした社会情勢もあり、国が主導となって働き方の在り方を見つめ直す「働き方改革」も始動しました。少子高齢化によって今後も労働人口は右肩下がりに減少していくことが想定されているだけに、少ない労働人口の中でも生産性や参加率を引き上げていくための施策が考えられています。その中には出産や介護、病気などで休職・退職せざるを得ない、もしくは退職後に再就職や自宅で会社にいるのと同様に働けるテレワークの推進も含まれています。 しかし、高度に情報化した現代においては物事が目まぐるしく移り変わるため、再就職や職場復帰は簡単なことではありません。それこそ手に職のある専門職ではなく、企業の営業職や総合職といった一般的な職種で勤めることを望むのであれば、常に時代のニーズにアンテナを立てて企業に必要とされる知識や技術を習得していることが重要になります。こうした時代背景がゆえに、移り行く時の変化に対応しながら働くためにも生涯教育に注目が集まっているのです。

就労しながらの学びを大切にするリカレント教育

生涯教育の重要性が世間においても認知されつつありますが、その中でも注目度が高いのが、すでに社会人になっていても、必要に応じて教育機関に戻って学べる教育システムである「リカレント教育」です。リカレント(recurrent)とは、反復・循環・回帰の意味であり、1970年代にスウェーデンの経済学者・レーンが提唱したリカレント教育は、日本では「回帰教育」や「循環教育」とも言われています。 特に欧米は流動性の高い労働市場であり、一旦、退職して大学に戻るケースも珍しくありません。キャリアアップのための有給教育制度を敷いている企業もあり、日本に比べてリカレント教育の体制は整っていると言えるでしょう。就職後、より高いキャリアを築くために必要な知識や技術の習得を目指し、改めて大学や大学院などの高等教育機関で学習し、そこで得た知識、技術をもとに以前よりもキャリアアップを実現することは、もはや選択肢の1つとして当たり前になっています。 日本でも欧米には及ばずとも、キャリアアップを目指して転職する人が増加傾向にあります。また、日本女子大学がリカレント教育課程を持つなど教育機関の受け入れ態勢も少しずつではあるものの、整いつつあります。社会人になってからも学びを続けられるリカレント教育は、これからの社会において重要度が増すことでしょう。

日本のリカレント教育の注目度は女性の社会復帰を皮切りに男性にも

「教育=学生」という考え方はもうすでに古くなりつつあります。社会は目まぐるしく変化を遂げているので、時代の流れに対応する知識やスキル獲得には就労しながらでも学び続けることが必要です。もちろん、日本では欧米ほど労働市場に流動性がないため、本来のキャリアアップを目指してのリカレント教育とまったく同じとはいきませんが、特に結婚、出産、子育てなどを機に一度仕事を辞めた女性が社会復帰を目指すためのカリキュラムが人気を集めています。 労働人口が減少していく中で国際競争力をつけていくためには、性別にかかわらず、常に学び続けることが必須事項です。リカレント教育制度の利用が難しい場合でも自主学習を続けるなど、知識の習得を怠るべきではないでしょう。そして、そう遠くない将来には日本企業も積極的に従業員に対し学習の機会を与える取り組みが当たり前となるかもしれません。

2021/04/12 更新

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