サービスリリース前の動作検証を行う「評価・テスト」

サービスリリース前の動作検証を行う「評価・テスト」

IT技術が発展した現代においては、さまざまなシステムやアプリが日々リリースされています。それらのリリースの裏に開発者がいるのはもちろんですが、サービスとして問題がないか動作検証を行う「評価・テスト」担当者と呼ばれる人々の活躍があることを忘れてはいけません。「評価・テスト」と聞くとサービスを単にチェックするだけの地味な職種にも思えますが、開発側とユーザーをつなぐための重要な存在です。多くのシステムやアプリを何の問題もなく活用できているのは、評価・テスト担当者の貢献の賜物だと言えます。

 

システムやアプリ開発に不可欠な職業

評価・テスト業務の主な仕事内容は、システム・ハードウェア・ソフトウェア・アプリなどの開発の際にそれらのサービスが規格通りに作動するかをテストし、その結果を評価することです。その内容は、リストに沿って単純作業をひたすらこなすものから、コードの修正などを行う専門知識が求められるものまでさまざまです。一般的には、未経験者や経験の浅い方は「出来上がった商品の動作確認」、開発経験者やある程度経験を積んだ人は「コードや環境の動作確認」を行う場合が多いようです。

しかし、一口にテストとは言ってもただ闇雲に動作確認をすればいというわけではありません。テストには大きく分けて以下の6つのフェーズでそれぞれの目的に応じて進行する必要があります。

1.計画

テストの目的・必要期間・終了条件などを計画します。

2.分析

テストケースを作成するための情報をまとめたり、テスト方法などの方針を固めたりします。

3.設計

分析で得た情報をもとに、環境・実行条件・結果をまとめるテストケースを作成します。

4.実装

作製したテストケースをもとに、具体的なテストの手順を決定します。

5.実行

実際にテストを開始します。

6.終了

あらかじめ定めたテストの終了条件を満たしたら終了し、テスト結果をまとめます。

評価・テストと聞くと「地味」「割に合わない」という印象を持っている方も多いでしょう。確かに評価・テストの業務は地道なものが多いのも事実ですが、サービスを安心して利用してもらうためには不可欠です。お客様からのクレームを少なくし、トラブルによる世間的な信頼の低下などを未然に防ぐことができる重要な職務だと言えます。

「使う」立場から問題点を探る仕事

商品開発に際して、開発者側がいくらユーザーのことを考えていたとしても、「作る立場」としての視点に偏ってしまうのは往々にして起こり得ることです。そのため、開発者側が気づけない「使う立場」からの視点で不便な点や問題点などがないかを探るという意味でも、評価・テストの業務は非常に大きな意義があります。

使ってみて初めてわかる問題点を探り、必要な場合はキャリアや肩書を越えて指摘をすることで、より良い商品作りに貢献することができるはずです。評価・テストはあまり目立つことのない仕事ではあるものの、ユーザーの商品に対する意見の代弁者にもなり得る存在であり、商品開発における縁の下の力持ちであると言えるでしょう。

人材難のため活躍次第でステップアップも

近年のソフトウェア開発は、複雑化・高度化・開発期間の短縮・分業化などが進むとともに、エラーやバグを少なくしなければならないという品質に対する課題意識が高まっています。また、最近では特に開発者以外の第三者がシステムをテストする第三者検証が注目されていることから、評価・テストの需要は高まっています。

技術の進歩による「テストの自動化」を推す声もありますが、テスト自動化のシステムができたとしても、そのシステムの動作テストにも人員を割く必要があります。つまり、人間が使用するシステムが開発される以上、人間によるテストは必須なのです。そのため、システムによるテストの自動化が進んだとしても、評価・テストの仕事が完全になくなることはないでしょう。むしろ、現在では業務効率化のツールが多く作られているため、評価・テストの仕事は増加傾向にあると言えます。

しかし、こういった仕事は未経験者や経験の浅いエンジニアがやる仕事と考えている人も多く、市場的に人手不足な状態が続いています。キャリアパスとしてはプログラマー・品質管理のコンサルやプロジェクトマネージャーなど、ITに関わるさまざまな職業への足掛かりにもなります。もちろん、評価・テストを続けることで、テストエンジニアという上位職に就くことも可能です。人材難の今こそ評価・テストをキャリアアップの足掛かりとしてみるのも良いのではないでしょうか。

 

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2022/01/26 更新