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社会人として持つべき“コンプライアンス意識”

近年、さまざまな方面でその重要性が取り沙汰されている「コンプライアンス」。よく耳にしていても、その正確な意味合いをまだ理解できていない方も少なからずいることでしょう。大まかに説明すると、「社内規定やマニュアル、社会常識や倫理観に基づき行動すること」ではありますが、具体的にはどのような行動に落とし込むべきなのでしょうか。社会人として不可欠なコンプライアンスの意識について検証してみましょう。

今さら聞けないコンプライアンスとは?

英語の「compliance」を直訳すると「(要求・命令などに)応じること、応諾、追従」という意味になります。ビジネスシーンにおいては、コンプライアンスは主に「法令遵守」を意味し、企業が法律や企業倫理を遵守することに対して使われます。つまり、社会の一員として法律を守ることに加え、会社で定められているルールや規則、そして職務上、もしくは社会的に人として守らなければならない倫理をも含めて遵守することが求められるのです。

コンプライアンスがここまで声高に叫ばれるようになった背景には、会社として利益ばかりを優先することで違法行為をするなどの問題が多発したことが挙げられます。過労死や業務過多による自殺などの話題が頻繁にニュースで取り上げられ、社会問題となっています。主に“人の道から外れた行為・行動”に対して社会から厳しい目で見られるようになっており、企業もコンプライアンス違反を無視できなくなりました。

現代においては、社会的な問題行為に関しては一瞬にしてネット上で広まります。そして一旦、情報が広まってしまうと悪い評判を削除することはなかなか困難です。インターネットで検索すると常に悪評が出てきてしまい、会社は取引先、消費者からの信用を失うことにもつながりかねません。このような時代背景もあり、会社として事業を継続していくためにはコンプライアンスを遵守することがもはや当然のことになりつつあります。

コンプライアンス違反の社会的なリスク

社会的な重要度が増したコンプライアンスですが、違反行為をしてしまった際にどのようなリスクがあるのでしょうか。悪い評判を耳にした取引先、消費者からの信用を失うことは当然であり、さらに株価にも影響が及ぶこともあるため、株主からの信用も失うことにもつながります。場合によっては株主訴訟を起こされるリスクもあるのです。さらに法令違反となれば、当然、行政からの処罰も受けることになります。

また、違法行為が発覚することは、採用難や社員の流失にもつながりかねません。優秀な人材が集まらず、逆にどんどん抜けていく状況が常態化すると、事業の継続すら危ぶまれてきます。人材流出の流れが加速すると最悪の場合、倒産の憂き目に遭うこともあるのです。コンプライアンス違反という一つの問題から、会社という一組織の存続にも関わることにもつながります。

万が一、コンプライアンス違反が発覚した場合は、初動の対応が非常に重要になります。責任者や担当者の誠意が感じられない場合は、さらに批判の声が広がる可能性が考えられるのです。まずは問題を起こさないことが大前提ですが、起きてしまった際もきちんと会社の代表や役員レベルでの対応が必要なことを認識しましょう。

会社の上層部がコンプライアンスを意識することが重要

企業にとって大打撃を与え兼ねないコンプライアンス違反ですが、個人レベルで法的、倫理的にルールに従って働くだけで守れることではありません。事業としての取り組みの過程や経営方針に従った業務において抵触することが多いといえます。つまり、会社の上層部から徹底したコンプライアンスへの意識を持つことが大切なのです。

最終的な判断を下す幹部メンバーは、企業活動に関連する法律を深く詳しく理解しておくことが不可欠になります。そして、労働法規に抵触しそうな業務内容については、徹底的にその芽を摘む必要があります。また、現場レベルのスタッフにおいても、仕事をする上で入社前に結んだ契約との相違がないかなどのアンテナを常に張ることが重要です。

倫理的な部分においても、人として常にモラルに従って行動することを意識する必要があります。重要なことはコンプライアンスを知識として習得するのではなく、一般常識としての感覚を身につけることです。会社の上層部を中心に全社員が社会人として当たり前のことをしっかりと守るという意識を持つことが重要となります。人の道を外れた行動をしていないかを、全社でお互いに監視していく――コンプライアンス違反を起こさないためには、スタッフ全員の意識を変えていく必要があります。

2023/07/28 更新

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