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ヒューマンリソースマネジメントによる組織改革

社会において“人財”の上手な活用法を見出すことは永遠のテーマではありますが、“人を活かす術”についての考え方は常に進化をしていますので、時代のトレンドを掌握する必要があります。近年では組織として成果を出すための概念として、ヒューマンリソースマネジメント(HRM/人的資源管理)という言葉が頻繁に使用されるようになりました。人を“人的資源”として管理する方法とはいかなるものなのでしょうか。

押さえておきたいHRM(人的資源管理)の基本

ヒューマンリソースマネジメントとは、従来、人をコストとして考えていたパーソナルマネジメント(PM/人事労務管理)とは異なり、人を商品やお金、建物などのように資源として考えた管理方法です。パーソナルマネジメントのように人をコストとして考えてしまうと、いかに効率的に管理をするかばかりを重視しがちになります。そのため、社員に時間とお金をかけて研修や教育をするといった施策に取り組みにくく、組織の中で人がなかなか育たないといったリスクを抱える危険性があります。 そのため、人をコストとして考えるのではなく、資源として捉え、どういう教育をして、どういう配置をすることで資源を活用していくかを考えるのがヒューマンリソースマネジメントの基本です。資源を有効に活用することによって、最大限の効果を発揮することを目的としています。人を資源として捉えることは一見するとドライな印象がありますが、フラットな視点で最適な人員配置を行う上では、非常に合理的な手法だとも言えるでしょう。 ヒューマンリソースマネジメントでは、さまざまな人事において人事部門だけが強い権限を持つのではなく、他の部門も積極的に人事や教育、研修に関与することが求められます。関与する人が増えれば、その分のコストはかさみますが、現場の声が適切に生かされれば、適材適所の人材配置が実現しやすくなります。そうすることで総合的に見れば無駄な異動が減り、コストも軽減されることが期待できるでしょう。

人そのものから人的資源を管理する時代に

ではこれまでの管理体制であるパーソナルマネジメントは、なぜ見直しをされるようになったのでしょうか。パーソナルマネジメントは、効率的な管理が重視されるため、人の採用、配置、昇格、教育などを人事部門が一括して行います。現場での評価や意見がまったく反映されないわけではありませんが、人事に関わる人が増えればそれだけコストがかさむため、人事部門が強い権限を持って進めるのが基本方針です。 パーソナルマネジメントは、労働者人口が多い時代では最適だったかもしれませんが、超少子高齢化が進む日本において、今後、労働者人口が増えることは考えにくいです。実際、総務省が発表した2014度版情報通信白書によると、15~64歳の生産年齢人口は2013年10月時点で7,901万人ですが、2060年には4,418万人と、約3,500万人も減少するとの予測がされています。 マンパワーが不足することが確実な社会情勢において、企業が競争力を保つためには、今いる社員を経営における大切な資源ととらえ、「人材」から「人財」へと考え方を変える必要があります。パーソナルマネジメントからヒューマンリソースマネジメントへの転換は、現代において当然の流れなのかもしれません。

戦略的資源の有効活用で組織改革を

人を資源として大切に扱うことのメリットは、適材適所の人員配置、教育や研修に力を入れることによる社員の成長などが挙げられます。そして、社員側にとってもコストではなく、資源として評価されることで自身の成果が適切に評価されやすくなり、モチベーションがアップするというメリットがあります。限られた資源である人財を最大限に有効活用することで組織全体が活性化され、それが呼び水となり、さらなる優秀な人材が増えるという好循環が期待できるでしょう。 ヒューマンリソースマネジメントでは、人をコストではなく戦略的資源と考えることで、適材適所への人員配置など組織内での活躍を重視した管理を徹底できます。マネジメントがうまくいかず人が定着しないという企業では、ヒューマンリソースマネジメントを導入することでの組織改革を検討されてみてはいかがでしょうか。仕組みを変えることで、これまで噛み合わなかった歯車がうまく回り出すかもしれません。

2021/02/17 更新

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