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既存業務を“やめる”ことによって生まれる新たな利益

日々の業務の中には、社内の慣習であることを理由に現在の環境では必要がないとわかっていながら継続されているものも少なくありません。しかし、成果に結びつかない業務は本来であれば行うべきではないため、本当に必要なのか見直すことが大切です。新たな収益を生むためには、時には既存業務を思いきって“やめる”ことも必要です。

業務の継続断念は決して悪いことではありません。無意味だと思っていても、継続することこそが美徳であるというような風潮に流され、結局やめられずに継続してしまうケースはよくあることです。既存業務を“やめる”ことは、エネルギーがいるので、なかなかその一歩が踏み出せず、時間の浪費になっていることが切り出せずにいる人も多いのではないでしょうか。 しかし、効率の悪い既存業務を漫然と続けている間には確実に“機会費用”の損失が発生しています。機会費用とは、本来利益を生み出せていたはずの時間を他のことに費やした結果失われた利益を指します。もし必要の無い業務に対して早く見切りをつけていれば、その業務に充てた時間やお金、労力をもっと有益なことに費やせていたはずなのです。 仕事においてもっとも重要なのは「無意味な慣習業務を続けること」よりも「成果をあげること」です。成果に結び付かない業務を続けて機会費用を失うことは避けなければなりません。そのためにまず、業務の見直しをして「やめる=悪いこと」という誤った固定観念を捨てることから始めるべきです。

無視すべき過去の埋没費用(サンクコスト)

効率の悪い定例行事や業務がやめられない原因のひとつになっているのが「これまでかけた時間・お金・労力がもったいない」という考え方です。このような「それまでに費やしたコスト」を経済学では「埋没費用(サンクコスト)」と呼びます。 たとえば、新しいビジネスを始めるのに100万円を投資したものの、思うような結果が出なかったとします。一般的には、せっかく投資した100万円を無駄にはしたくないと考えるので、よい結果が出るまでビジネスを継続させようとするでしょう。しかし、これがいわゆる“サンクコストの落とし穴”なのです。 多くの人は、すでに使ってしまったサンクコストの元を取るためにさらに資金を投資します。しかし、利益がでる見込みがないならその時点で諦め、撤退する決断をするのが得策でしょう。なぜなら、回収の見込みがないとわかった時点で手を引けば、損失はその時点でのサンクコストのみで済みますが、なんとかしようと続けることでさらなる損失が発生してしまうためです。このようにビジネスにおいては、サンクコストにとらわれるよりも早めに頭を切り替えて次の最善の一手を考える方が重要だと言えます。

やめる勇気が新たな道を拓く

毎日行っているルーチンワークは本当に必要な業務と言えるのでしょうか。これを機会に思いきって一度フラットな視点で業務全体を見直して社内で相談し必要の無い業務を判断することで新たな道が拓けるかもしれません。既存業務の継続可否を常にジャッジし続けることによって、自然と効率的な仕事に関する判断ができるようになってくるのです。 不要な仕事を手放すことで余裕が生まれ、これまで思いつかなかったアイデアを生んだり、新たな挑戦を始めることのきっかけになったりもするでしょう。やめることは前進するために必要なことで悪いことでも負けでもありません。そのことに気づき、時間の有効活用ができれば、真なる成果を生み出すことができるでしょう。

2021/02/08 更新

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